二日酔いの経穴考察

前回の続きです。



古典の中でお酒、二日酔いに関する記載を探しました。


【顖会】

類経円翼:主治脳虚冷痛。頭風腫痛。項痛。飲酒過多頭皮痛。風癇冷痛。

資生経:予少刻苦。年踰壯。則脳冷。或飲酒過多脳疼如破。後因灸顖会穴。非特脳不復冷。他日酒酔脳亦不疼矣。凡脳冷者宣灸之。



【率谷】

甲乙経:酔酒風熱発。二角(一作兩目)。眩痛。不能飲食。煩満嘔吐。率谷之主。

銅人経:率谷。治膈胃寒痰。傷酒風発。脳両角強痛不能飲食。煩嘔吐不止。可灸三壯。鍼入三分。



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顖会は酔っ払いが鼻っつらに掌底を打ち込んできた際、中指の当たるところ。

率谷は酔っ払いから側頭部にチョップを喰らう辺りです。



やはり以上2穴しか見つけられなかったんですが、

改めて確認してみても体幹、四肢の経穴に『酒』と記載されてるものは、どうも無いようです。


ご存知の方は是非教えて下さい。



場所柄から考えても頭痛に効果はありそうですが、
顖会、率谷が頭部の経穴の中で何故わざわざ飲酒後、酒酔など状況を限定した頭痛に効果があるとされているのか?



愚考してみましたが、2穴に共通するのは頭部の経穴の中でも胃、消化器に対して効果がある経穴ではないかと、



顖会は古典などには書かれてないので、どれくらい一般的なのかは分からないのですが、


澤田流の鍼灸治療基礎学には
『迷走神経の過緊張を主る。故に激しき嘔吐、胃酸過多症に効く』



とありまして、澤田流をベースにしている私としては顖会が胃に効果があるということは自分でも、患者さんに対しても実感するところなのですが…(私の経験ですが、お酒だけでなく失恋の際の胃の痛みにも効果がありました。)



迷走神経の過緊張を主る。ってどういうこと?



学生の時は「顖会は迷走神経の過緊張を主る!なるほど!すごい!」


と思ってましたが、今思うとちょっと何言ってるかよく分からない。



前後の経穴ではそんな話さっぱり出てこないのに、なぜ急に顖会だけ迷走神経に作用すると言い出すのか…



現在で言うところの迷走神経反射による失神が起こったなら百会で引き上げた方が良いだろうし、
澤田先生はどういった経験から「顖会、迷走神経に作用するわー」と考えたんでしょうか。



天才やったからかなぁ



率谷は甲乙経、銅人系に治膈胃寒痰、不能飲食など書かれているので古典が出来た時代から消化器に効果があることが分かっていたのでしょう。


それでも誰が初めにやり出したんでしょうね。
どういう発想でお腹が悪いときに側頭部に手がいくのか…



天才おったんかなぁ



自分が二日酔いになった際は胃熱を瀉すことと、水湿の運化を促すことを目的としてあの経穴この経穴と試しているのですが、


フォローさせていただいている先生から大敦が効果があるとご教授いただきました。


胃熱がより深く入っていったものを瀉せるだろうし、ひどい二日酔いになった際は試そうかと思っていますが如何せん井穴は痛いだろうし
行間じゃダメかなあ…


瀉す目的なら大敦より強いと思うんですが行間より大敦の方が良い理由があるのか、これは自分の身体で試してみるしかないですね。



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ところで大敦は第一趾爪根部の外側を使われますか?中央でしょうか?
私は外側は肝経を、中央は肝経と脾経との交会を意識して使います。





よし!



では、ある程度書きたいことは書けたので実験の為に逝ってきます!



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