あなたの大敦はどこですか?

先日、赤羽氏法の本をとりあげ大敦の位置が真ん中すぎではないか?というツイートを見まして、今回はこれを取り上げていきたいと思います。



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・大敦の位置について。


大敦は教科書的には足第1指の爪甲根部外側に取ると教わりますが、赤羽氏法では足第1指の爪甲根部中央としています。


中央の大敦がどれくらい一般的なのかわかりませんが、今回は霊枢本輸篇から大敦の位置を考えていきたいと思います。


"肝出于大敦.大敦者.足大指之端.及三毛之中也.爲井木."


こちらが霊枢本輸篇の抜粋ですが"大敦者.足大指之端."とあります。


端?


端だけだと外側なのか?中央なのかハッキリしないので、足大指の内側にあるはずの脾経の隱白を見ます?


"脾出于隱白.隱白者.足大指之端内側也.爲井木."


隱白は内側。
これは現代で習う教科書通りです。



まとめて他の井穴も確認していきます。


"肺出於少商.少商者.手大指端内側也.爲井木."

"心出於中衝.中衝.手中指之端也.爲井木."


心が心包経の経絡になってます。


"腎出于湧泉.湧泉者.足心也.爲井木."



次は陽経。


"膀胱出于至陰.至陰者.足小指之端也.爲井金."

"膽出于竅陰.竅陰者.足小指次指之端也.爲井金."

"胃出于厲兌.厲兌者.足大指内.次指之端也.爲井金."

"三焦者.上合手少陽.出于關衝.關衝者.手小指次指之端也.爲井金."

"手太陽小腸者.上合手太陽.出于少澤.少澤.小指之端也.爲井金."

"大腸.上合手陽明.出于商陽.商陽.大指次指之端也.爲井金."


十一経絡を抜粋してみて分かることは内側の場合は(肺経、脾経)"内側也."とつくこと。


それ以外の爪の外側にとるは各指の端也と書かれています。



ならば大敦も足大指の外側でよいのではないか?と思いますが、大敦だけ"及三毛之中也."という一文が付いているのです。


これが何を指すのか!?


足の親指には皆さん毛が生えていることかと思います。
これが三毛ならば、この中に大敦をとるべきなのか?


もしくはその中でも端の方として赤羽氏法で使う中央の大敦になったのか?



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皆さんもお好きな大敦を取っていただけたらと思います。



ただ改めて端とはどこか?と考えてみて、従来の井穴の位置である爪甲根部は本当に端でしょうか…?


指の一番端といったらここではないでしょうか?



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ここには毛が生えないと誰が決めたのでしょう。

信じれば毛は生えます!必ず!

古代中国人はここにも毛が生えていたかも知れません。



試しに三毛を生やしてみます。



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ほら!


違和感ないですよね!?



寧ろ不思議と馴染みがある…?



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Qちゃん!!!!!!!!!



もしかして…


大敦はQちゃんの百会…肝経は百会に交会する…Qちゃんが唯一変身できるのは靴…



だから…………………







なに…?





・本輸篇に記載される三焦経について。


他の経絡は全て井穴から合穴(胃経は下合穴も)までの説明が書かれているのですが、三焦経だけ例外で以下の文が続きます。


"三焦下腧.在于足大指之前.少陽之後.出于膕中外廉.名曰委陽.是太陽絡也.手少陽經也.
三焦者.足少陽太陰之所將.太陽之別也.上踝五寸.別入貫腨腸.出于委陽.並太陽之正.入絡膀胱.約下焦.實則閉癃.虚則遺溺.遺溺則補之.閉癃則寫之."



この三焦下腧をどう解釈するのか?

そして続く"在于足大指之前."


足大指の前…とは?



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P子…?



とにかくこれが
少陽経の後ろ、ふくらはぎの外を通って、委陽へ。太陽経を絡う、手少陽経也。


下肢を通るけれども『手』の少陽経であると記載されていて、下合穴の説明が続きます。



愚考ですが、先ほどの抜粋の終わりに"入絡膀胱.約下焦.實則閉癃.虚則遺溺.遺溺則補之.閉癃則寫之."


とあるので

臓腑の生理機能を考えた時に、三焦経の経穴を使って泌尿器系の疾患が治らないと困るので下肢にも三焦経を(下合穴を)もってきたのではないかと。



古典は人それぞれの解釈があってこそ古典であるかと思っていますので、これをどう呼んでも、オリジナルの名前を付けても自由だと思います。


ただ他人の解釈を否定するのも否定する輩も嫌なので、各々が自分の考えた最強の経絡、経穴を自由に発表し認め合える平和な世界が訪れることを願っております。