経穴の別名
5年程、師匠の研修兼手伝いのような状態で学生のサポートをしていまして、医療面接をフォローしたり、師匠の配穴理由の補足をしたりしていました。
例えば師匠が主訴とは関係なさそうな百会に刺した際、あれはどういう理由で百会を使ったのかと問われたら
私「あれは三陽五会だからペラペラペラペラ」
学生「さんよう…?」
私「ああ…クセになってんだ、経穴を別名で言うの…」ニヤリ
我ながら最悪のOB。
いつまで中二病を患い続けるのか。
もちろん経穴だけでなく、ムーミン谷のトンガリ帽子ハンサムのことはスヌスムムリク。
アイスクリーム屋さんのことはバスキンロビンスと言います。
重症です。
経穴をわざわざ別名で言うのは分かりにくいしマジでダサいですが、
別名を知ることで穴性が覚えれたり、その経穴を新しい角度で見れたりするメリットもあります。(あとダジャレを作れたり)
そこで今回は経穴の別名をピックアップしながら愚考を書いていきたいと思います。
【会維、胃維】地倉
陰維脈との交会なんだな、というのがすぐ覚えられます。
こういう感じで紹介していきます。
【窓聾、窓籠】天窓
これも聾に関係しているんだろうなと考察できます。
【玉環兪、玉房兪】白環兪
諸病源候総論に男性の遺精、女性の月経にかかれており、ここから玉環、玉房の名前がきているようです。
個人的には、だいたい泌尿器系の疾患はとりあえず次髎でいいじゃんと思っていますが、性に関わることの場合は玉環兪の意識をもって使います。
【飛虎】支溝
かっこいい!
飛!虎!少年心がくすぐられる名前!
支溝、外関あたりは肺経にも作用するように考えているのですが、それを子午流注での虎=肺として別名としたのでは?と愚考です。
【蛇頭】温溜
これもかっこいい!
長短橈側手根伸筋が蛇みたいだからとかどこかに書いてあった気がしますが、関係ない!かっこいい!
もう一つ別名【逆注】これもかっこいい!
【経始】少衝
「経の始まり」ということなのか?
だとしても場所的にも小指の先だし、心経の終わりの経穴なのにちょっとイキってる感がありますね。
お前も中二病なのか…?
【小吉】小沢
急にかわいい。
少衝がイキってるのに対して、反対側の小沢は弁えてます!って感じがいいですね。
【心主】大陵
心包経なのに「心の主」を主張する大陵。
まだ心経がなかった脈灸経の頃が忘れられないのかな…
【命門】石門
個人的に三焦の募穴なので石門は好きです。
丹田の位置だし、命門の名前を貰ってもでも全然おかしくない石門。
それでも腰の命門に名前を譲ってやる…そういう奴なんですよね、石門は。
【肉郄】承扶
【肉柱】承山
ふくらはぎを「肉」とするの分かる。
人間のパーツの中で一番「肉」っぽい。
【天五会】人迎
三陽五会は手足少陽、足太陽、足厥陰、督脈ですが、天五会は何が交会しているのか?
鍼灸大成に「以候五臓気」とあるので五臓の気の状態を知るための場所。としての天五会でしょうか。
【命關】食竇
なかなか認知度は低いと思いますが、扁鵲心書に書かれています。
たぶん鍼灸師になってから使ったことのない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここに脾土論みたいな内容と36種の脾病を治し、2、300壯据えると病気にならない!みたいなとこが書かれています。(と思います)
そして同様に扁鵲心書に記載されている黄帝灸法には
久患脾瘧灸命關五百壯
五百!500!
古典ならおかしくはない壯数ですが、他は臍下、中脘など1穴で済むなか命関は左右2穴!
左右で1000壯!
直接灸をしたら穴が空いてしまうと思うので簡易灸を据えるとして、最近Twitterで話題のユニコさんのらくらく灸だと
業務用288壮入:各5,700円
とのことですので、1000壯とすると大体2万円分の灸が必要ということになりますね。
これは美容鍼とかの比じゃないぞ!
長患いの患者さんに命関の灸が流行ったら日進医療器えらいことになるのでは…!?
まさか宝の山を見つけた!?
ただ治療時間としては、もし1壯1分で燃えるとしても500分。
おおよそ8時間かかりますがいかがでしょう。
原価2万で8時間の治療…単価いくらにしたらいいんだろうか…