必活!十全大補方!!!
精も魂も尽き果て、貧血気味で血色も悪く疲労衰弱状態…もう十全大補湯を服用するしかない!
でも手元に十全大補湯が無い!!!
こんなことって良くありますよね。
そんな時でも鍼灸師さえいれば大丈夫!
十全大補『方』という方法をご紹介したいと思います。
名前の通り十全大補『湯』と同様の効果を出せる配穴で、王楽亭さんが考案し金針再伝という本に載っています。
配穴は
章門、足三里、内関、中脘、三陰交、太衝、陽陵泉、関元、曲池、合谷
十全大補『湯』は四君子湯と四物湯、あと黄耆と桂皮を併せた漢方薬らしいので処方構成と経穴を照らしあわすと…
四君子湯=章門、足三里、内関、中脘
四物湯=三陰交、太衝、陽陵泉、(関元)
気をめぐらす桂皮として=曲池、合谷、(陽陵泉)
穴性の重複や組合せもあると思いますが、だいたいこんな感じで考えているのではないかと想像できます。
ちょっと無理矢理こじつけましたが、配穴通りの順番です。
配穴のすべてを取穴するかどうかは、その時の患者さんの状態、術者の好みもあるかと思いますが、このまま使えば漢方的というか中医的な考えで他の漢方薬の証にも対応できるし、漢方薬を使われる方とも意志疎通がしやすくとても便利ですね。
更にこの配穴が興味深いのが、金針再伝という本の初版と改訂版では配穴そのものは同じだけれども経穴の順番が変わっているんです。
本の中でも、これ以外の配穴は全て同じなので意図して変えているのでしょう。
改訂版では
①章門、⑨曲池、③内関、⑩合谷、④中脘、⑧関元、⑦陽陵泉、②足三里、⑤三陰交、⑥太衝
経穴の前の数字は初版で記載されている順番です。
①章門と③内関だけ一緒ですがあとは全部バラバラ。
これには一体どういった理由があるのか、浅学の私は上肢→腹部→下肢と取穴の動線からスムーズに治療ができるようこの並びになったのではないかなと考えますが、もしかしたらもっと深い深い理由があるのではないか…?と王楽亭さんに想いを馳せる次第です。
あと他に考えられる理由としては、患者に対するフェイントというか…
患者「もうダメだー、気も血も足らないし全身弱ってしまったー」
私「俺にまかせろー!バリバリー!(鍼の包装を開ける音)章門!」
患「いくら臓会で脾募だとしてもそれだけじゃ効かないよー、十全大補湯をくれー」
私「…そんなこと言われても鍼灸師の免許しか持っていない私にはどうすることも…曲池!」
患「曲池とってどうするんだよー、著しい気虚なんだよー足りねえよ」
私「内関!合谷!中脘!」
患「いまさら健脾胃意識しても遅いよー」
私「関元!陽陵泉!」
患「だんだん下に降りるのかよー寧ろ下肢から上げてくれよ」
私「足三里!」
患「やっとかよー」
私「三陰交!太衝!」
患「…これは……まさか………ッ!」
私「十 全 大 補 方!!!!!」
ボカーーーーーーーン!!!!!!!!
患「…力が…漲る……」
みたいな感じで、なぜか異常に東洋医学の知識のある患者さんに対し一見的外れのような、伏線的な配穴をすることで後半の盛り返しにより絶大な信頼を得ることができますね!
是非お試しください。