臨床に役立つ返し鍼
はり、きゅう師の国家試験を受験された方は大変ご苦労様でした。
今回は国家試験に合格された方も、残念ながら来年まで持ち越しの方も、今後きっと役に立つであろう“返し鍼“を、柳谷素霊先生の『禁穴論・返し鍼法』から抜粋してご紹介していきたいと思います。
<返し鍼とは、鍼の刺激が強すぎた場合など誤った作用が起こってしまった場合、それを回復するための鍼の方法です。直しの鍼とも言います。>
まずは【肩井】
肩井は誤って刺すと脳貧血、悶倒する、心臓麻痺を起こす。と書かれています。
肩井からの脳貧血は自身で経験されている人もあるかも知れません…
私は学生時代に自然気胸を患っているので、間違いがないよう、疑いもかけられぬよう肩背部の鍼に関しては限りなく浅く刺すように努めてきましたが、勤務時代、経験の浅かった頃は「もっと響きを出してくれ」「まだ凝っている」という注文に悩みました。
自信がない時ほど患者さんの求めに応じて鍼を刺してしまいます。
するとどうでしょう!?
ベッドから立ち上がるや否や、顔が青白くなってへたり込む患者さん…
そんな時の為にこちらを覚えてください!!!
・糸竹空、手三里、懸鐘(鍼灸要法指南)
・懸鐘、足三里をよく補う(鍼灸備要、鍼灸聚英、神俱集、療治之大概集)
・三里、陽陵泉を補う(西儀流秘伝書)
・条口、絶骨へ乱鍼する(岡田氏伝)
個人的な経験では、幸いなことに私自身の施術後に脳貧血を起こした患者さんは今のところありませんが、上司が担当した患者さんが脳貧血を起こし、その尻拭いの経験が2例あります。
どちらも足三里のみに刺鍼し、5分程の安静で回復しました。
特に座位での肩井の刺鍼は気をつけてください。
次は【足三里】
足三里はよく使うので誤刺の対処も覚えておいて損はないですよ。
足三里、懸鐘に鍼して人悶することあり。
と書かれています。
そんな時は!!!
・肩井に久しく留めて補うべし。
例えば肩井で脳貧血を起こしてしまった!
そして慌てて足三里に刺したら誤ってしまい、更に悶絶してしまった!!!
もう一度肩井に刺しましょう。
ただここで慌てると、肩井と足三里の無限ループが始まるので、くれぐれも落ち着いて久しく留めて補ってください。
そして【瘂門】
之に深刺して誤らば人立所に死す。
そんな時は、
・人中に刺鍼、上下に移動、四方に振顫する(龍虎の術也)ことを交互に行う(技術学)
また皮下に倒して刺し、鍼柄を下にし右と左とに刺し刺動法または廻旋術を行う
しかし普通に鍼灸治療を行っていて、瘂門に深刺をしてしまうということはあまりないと思います。
特に初心者マークの方ほどそんな場面はないだろうと思ってしまうかも知れませんが、プロの鍼灸師になったからには様々な状況を想定しなくてはいけません。
臨床には最大限の想像力を持って挑んで下さい!
私も鍼灸師としてお金をいただき生活をしていますが、やはりスポンサーというものはとても大事です。
あなたが鍼灸師として実力をつけて、スポンサーになってくれた人が悪代官だったらどうでしょう?
もちろん必殺仕事人に命を狙われています。
藤枝梅安があなたのスポンサーの瘂門を狙い見事に命を奪う!
その時あなたが返し鍼を知らなかったら、自分の大事な人(スポンサー)を目の前で失うことになってしまいます。
是非覚えておいて、いざという時は人中を使ってください。
【腹中何れの穴にても鍼を立て折りたる時】
・救急車です。
返し鍼は
・外陵の穴に刺して補うべし、鍼さきを折れたる鍼の方に向けて刺すべし(鍼灸備要)
なんの意味があるのかは分かりませんが、あなたが異世界転生して救急車が存在しない世界に飛ぶ可能性もあるので覚えておいて損はありません。
必要なのは想像力です。
【肺兪】
内斜鍼すれば咳嗽す、直鍼深ければ卒倒す。
これも救急車を呼びましょう。
・足三里に一寸、強刺激を与ふ。とありますがそんな事より119しましょう。
これは想像力とか言ってる場合じゃないから!早く!!!
最後は2ついきます!
【大横】
誤刺した場合は、一生手上がらざるに至る。
【関元】
妊婦に誤って刺せば堕胎す。
どちらもとても怖いですが、それでも返し鍼さえ知っていれば大丈夫!
返し鍼は…
・無し。
ただただ気をつけましょう。
ネタとしては以上です。
ご覧いただき、ありがとうございました。
ここから独り言です。
方々から似たようなことを言われてきてうんざりかも知れませんが…
鍼灸治療を初めて受けるという患者さんにとっては、あなたの治療が患者さんにとって鍼灸というもの全てになってしまう可能性があることを覚えておいてください。
前述の元上司なのですが、患者さんが鍼が痛いということを訴えると、「お前は鍼が合わない体質だからマッサージで良い」と平気で言う糞鍼灸師でした。
もちろんマッサージも散々で、私が勤めていた5年ちょっとの間に肋骨骨折2件を起こすレベル。
すぐに文句を言って「鍼が合わない」というセリフは二度と言わぬよう釘を刺しましたが、肩書きだけはリハビリ室長である糞鍼灸師から鍼を嫌いにされた患者さんがどれだけいるのかと考えると今でも新鮮な怒りが湧いてきます。
その経験から、もし患者さんが自分とは縁がなかったとしても、その方が後に鍼灸を選択肢として残せるようにということを第一に考えて治療をしています。
おじさんの独り言ですが、少しでも覚えておいていただけたら幸いです。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
あともう一つ、もうちょっとだけ独り言を聞いていただけるのならば…
患者さんが鍼灸を次の選択肢に入れてもらう為には、できればそれなりの効果を感じてもらう必要があるかと思います。
そのために未読の方は出端昭男先生と木下晴都先生の本を読んでおいていただきたい。
学生時代から積極的に勉強していた方は自信があるかも知れませんが、それでもいきなり現場にでると迷うこともあるでしょう。
そんな時にこのお二方の本は間違いなく支えになるはずです。
特に出端先生の『診察法と治療法』はそれだけで一通りの整形外科疾患に対応できますし、再現性のある治療の1つの完成系かと思います。
もし免許取り立ての初心者マーク鍼灸師がこの本の通りに治療を行い、それでも患者さんが効果を感じず鍼灸を苦手になってしまうのなら、それならばしょうがないかしらと私は諦められます。
東洋医学系の治療をしていきたいという方でもよほどの天才でもない限り、どこかで躓いたり、道標がほしくなる時もあるので是非とも覚えておいてください。
ここまで読んでいただいて本当に本当にありがとうございます。
【食事制限運動】絶対に痩せるツボ教えます!【一切不要】
あけましておめでとうございます。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
お正月太りしてますか?
今回はお正月の間に美味しいものを目一杯、罪悪感なく好きなだけ食べられるように、とっておきの痩せるツボをご紹介したいと思います。
痩せるツボをご存知でしょうか?
もしくは試されたことはありますか?
女性誌のツボ特集みたいな回にはだいたい載ってるかと思いますし、一昔前は耳ツボダイエットなんてものもありました。
ですが実際にツボの効果で痩せたという方はいらっしゃるでしょうか?
私自身、鍼灸師ですが実際にツボへの刺激だけで痩せた方には会ったことがありません。
ツボに併せて食事制限をしなくてはいけなかったり…
運動をしなくてはいけなかったり…
それは本当にツボの効果で痩せたと言えるのでしょうか?
食事制限やら運動をしたらそれは普通のダイエットでしょう!?
皆さんが求めているのは、ツボを刺激するだけ!
あとは何もせず楽をして痩せることができる!
そんな夢のようなツボではないでしょうか!?
そんなもの本当にあるのか?と疑いもあるかと思います。
先にお伝えしていしまいますが刺激するだけで痩せる…そんな夢のようなツボが………ありました!!!
鍼灸師の先生ほどそんな都合のよいツボはないと言うことでしょう。
ですが、そういった真面目な方は自分が鍼灸師を志した頃を思い出してほしいのです。
膨れ上がった足を鍼で一瞬のうちに元に戻したり…
鍼麻酔だ!とプスッと刺すだけで相手を眠らせたり…
秘孔をついた相手が「ひでぶっ」と言いながら爆散したり…
溺愛する弟の脳に小さい鍼を埋め込んで呪縛をかけたり…
そういう鍼灸の幻想に憧れてこの世界に入ってきたのではありませんか!?
違いますか!?
日々の臨床の中で鍼灸の理想と現実に辛い想いをすることもあるかと思います…
それでも!これを読んであの頃の情熱を、初心を思い出しませんか!?
そんな漫画みたいなことは起きないと自分達で鍼灸の可能性に蓋をするのはやめましょう!
今まで患者さんに「痩せるツボなんてありませんよ、食事制限と運動が大切です」なんて言った経験はありませんか?
それは患者さんの言ってほしい言葉でしょうか?
これを読んでいただければ、明日からは「痩せるツボ、ありますよ」と胸を張って言うことができます!
もしこれを読んでくださる鍼灸師以外の方がいらっしゃったら痩せるツボなんてない、ダイエットは辛いことを我慢しなくてはならないなどという考えは捨ててください。
断食?運動?何でそんなことするんですか?
今日から何もしなくても痩せます!
苦しいこと、我慢は一切せず、楽しいことだけして痩せましょう!
本題
それは鍼灸甲乙経という古典に書かれております。
鍼灸甲乙経について少し説明しますと、
晋の時代(282年)に皇甫謐(こうほひつ)という人によって書かれ。
経穴、経絡に関して体系づけられた現存する書物では最も古く。
現在、鍼灸治療で使われる経穴も甲乙経を拠り所としているものが多数。
要約すると元祖経穴の教科書であり、鍼灸師にとっての聖書の一つのようなものです。
そんな大事な大事な甲乙経に、痩せるツボの記載があるのです!
早速甲乙経の原文をみていただきましょう。
お分かりいただけますでしょうか?
ツボの名前は地五会です
ここです!
その下にはツボの位置が書いてあります。
足の薬指と小指(4指と5指)の間の関節のちょい上(足の甲側)にあります。
そしてここをどう刺激するのかと言うと、ここ押すのではなく、鍼をするのでもなく、お灸です!
お灸をすると痩せますとここに書かれています。
灸之令人痩
痩!!!!!
どうですか!?本当に痩せるツボはあるんです!
痩せるツボはありまぁす!
甲乙経に書いてある訳ですから、そこらの健康雑誌、最近売られてるツボの本とは歴史が違います!
一般の方もお灸をするだけなので簡単ですよね。
せんねん灸を買いに今すぐ薬局へ走りましょう!
これが皆様のダイエットに役立てば幸いです。
是非、お試しください!
お試しいただきたいと思うんですが…一つだけデメリットがありまして…
お灸をするだけで楽して痩せれることを考えたら全然大したことじゃないですが、医療に携わる者として副作用の説明もさせていただきます。
本当にちょっとしたことなんですが…
死にます。
先ほどの部分が本来は
不可灸灸之令人痩不出三年死
『不可灸、灸をすると痩せて三年で(訳者によっては三年以内で)死ぬ』
と書かれています…
けれども!
カートコバーンや、ジミヘンドリックスに憧れる24歳には寧ろぴったりじゃないですか!?
痩せたいし三年で死にたいなーなんて方には一石二鳥のツボなんです!
そんな方には副作用すらありがたい。
改めて、最後まで読んでくださった皆様のダイエットに役立てば幸いです。
是非、自己責任でお試しください。
本年は大変お世話になりました。
9月の大安天赦日に始めたブログも今回で21記事目となりまして、自分ルールの『大安に記事をアップする』も一応守りながら3ヶ月間続けることができました。
本当は患者さん向け、素人の方向けの鍼灸の啓蒙記事を書いてみたいと思うのですが、難しいものですね。
独り言置き場になってしまい、妻からは「誰向けなん、これ?」と言われていますが、自分としては達成感を感じております。
ブログをやってみて良かった点として、
・誰に言うでもなかったネタが世に出せた。
・ブログを書かねば!という危機感のお陰で、普段はネガティブなことしか考えないのですが、別の悩み(ブログ)があることでいくらか症状が落ち着いていた。
・なによりブログを介してTwitter上で皆さんと交流させていただいたこと。
読んでいただいた方、コメントしていただいた方には大変感謝しております。
『『大安に記事をアップする』ルールが有効なのは今年いっぱい』という自分ルールを制定したので、今後は更新がルーズになると思いますが、また覗いていただけたら幸いです。
では、よいお年を。
言妄
Twitterで皆さんが楽しそうに議論されているのを眺めていて、鍼灸師の方からツッコミくらうとは思ってもいなかったので大変反省しております。
調子にのって配穴を書いてしまいましたが、他の鍼灸師が見たら「なんやこいつ」となるようなものなので、マイノリティな鍼灸師の意見として読んでいただけたら幸いです。
お尻がヒリヒリするのか→原因も分からないしとりあえず孔最→背中触りたいし魄戸もいこう→肺経触ったら一応腎経も触ろうか、築賓かな→照海でもいいか。
くらいの思考回路なのでキチンとした理由はないですが、いくつか言い訳を考えました。
ご質問いただいた「なぜ直接大腸経でなく肺経なのか」については…
完全に好みです。
一応大腸経を使わない個人的な言い訳としては、
脈灸経においては歯脈とされていたこと。
穴性を見ても、古典では便秘に効果があるとされているのは三間、合谷くらいしかないこと。
から、大腸経を大腸の問題で使うことはないです。
身体全体の問題として熱処理の為に大腸経を使い、その時に愁訴として便秘があれば間接的に効果ありとなるかも知れませんが、大腸の問題=大腸経とは考えていないです。
だからと言って古典云々ということを言い出すと、孔最も頭痛、吐血への効果は書かれていますが、痔疾に効くとは書かれていないし、肺経が大腸に効くような記載はないので、完全に好みです。
もう1つの「なぜ肺兪ではなく魄戸なのか」
については「整体でいう二側(肺兪)は運動器系、三側(魄戸)は内臓系」というのは聞きかじっていたので、少しそちらに寄せさせてもらったことが1つ。
あとは難経に七衝門として、肛門を魄門と呼んでいるので同じ字だ!と思っての魄戸です。小学生みたいな理由です。
ですが、これも本来は『下極為魄門』と書かれているので『魄』を陰的な意味合いで使ってるだけかも知れません。
あとは私はその場で反応を診て決めることがほとんどなので大体その辺に手がいけば良い程度に考えています。
なので実際このケースの患者さんの魄戸周囲を触って、もし肺兪の位置に反応があっても私の中では魄戸!と思って使います。
膏肓くらいでも余裕で魄戸にする漢です。
腎経の取穴は、築賓に関しては先の議論で出ていた解毒を意識して(澤田流では築賓に解毒の効果があるとされているので)
これも場合によっては承山くらいまで触って反応あるところをとって築賓と言い出すかもしれません。
膀胱経別が肛門にいくので、承山でも理屈は通りますが。
照海は澤田流なので隙あらば使います。
少しだけ奇経を意識しながら築賓と選んで使います。
あとは治療のなかで「下からの排泄を促す」というイメージはあまりないです。
今回のお尻がヒリヒリするというケースであれば、なんらかの理由でどこかの陽が勝っているのでそのバランスが取れれば良いのではないか?と考えます。
言い訳おまけ
『精気の虚がなければ』という書き方をしてしまいましたが、正しくは『五臓の虚が判断できなければ』だったかと思います。
改めて配穴を見て恥ずかしくなりました。
実際は脈状やら腹で全く違う配穴になると思います。
脾虚であれば照海を公孫に変えたり、瘀血があれば会陽と適当なところで低周波をかけたり、精気の虚がなければ承山だけを瀉したり、机上の空論ですが楽しいですね。
誤字など書き直せるようにブログに書きましたので、ツッコミがあれば追記します。
大日如来の拝観方法
先週の日曜に私の友人であり、ツアーコンサルタントの佐々木くんの案内で京都に行ってきました。
三十三間堂と東寺を参拝しましたが、東寺の立体曼荼羅がとてもよかったです。
特にセンターの大日如来がありがたくてありがたくて言葉も出ないありがたみでした。
正面に立ってオーソドックスに大日如来を拝観するのも素晴らしく良いのですが、より感動的に拝観する方法を発見したのでシェアさせていただきたいと思います。
もしよろしければ東寺のホームページで立体曼荼羅配置図を確認して読んでいただけると幸いです。
まずは大日如来をスルーして阿弥陀如来の正面に立ち、ありがたみを感じてください。
まず阿弥陀如来だけでも解脱しかけますが、気をしっかり持って俗世間に縛られてください。
その際、自分の右斜め前に柱があるんですが、その柱の延長線上に大日如来を入れて、上手に見えないポジションを探します。
大日如来は想像の10倍大きいですが、光背まで全て入るようなスイートスポットを探してください。
うまくいったら改めて阿弥陀如来を感じます。
阿弥陀如来の良さに昇天ギリギリのところで、ゆっくりと視線を右に向けていきます…
そうすることで徐々に光輪があらわれ…
そのまま畏る畏る覗いていくと…
嘘だろ!?ってくらいの大きさの大日如来が現れます。
この方法の凄いところは、何回やっても何回やっても大日如来が想像より大きくなってるんです!
コツは大日如来の存在を一度自分の中から消して、目の前に阿弥陀如来が居ながらも、仏様なんて本当はいないんじゃないかな…人生は辛いことばかりだ…
という気持になることです。
そうすることで、光輪が見え始めると「え…もしかして…」と言うドキドキ感、
大日如来が見えた瞬間は「おわした…」と膝から崩れ落ちます。
そして「常に私を照らしてくれる!圧倒的慈悲!」と気づき、笑いと涙が出てきます。
東寺の1300年の歴史の中でも革命的な発見ではないかと自負しております!
是非お試しください。
経穴の別名
5年程、師匠の研修兼手伝いのような状態で学生のサポートをしていまして、医療面接をフォローしたり、師匠の配穴理由の補足をしたりしていました。
例えば師匠が主訴とは関係なさそうな百会に刺した際、あれはどういう理由で百会を使ったのかと問われたら
私「あれは三陽五会だからペラペラペラペラ」
学生「さんよう…?」
私「ああ…クセになってんだ、経穴を別名で言うの…」ニヤリ
我ながら最悪のOB。
いつまで中二病を患い続けるのか。
もちろん経穴だけでなく、ムーミン谷のトンガリ帽子ハンサムのことはスヌスムムリク。
アイスクリーム屋さんのことはバスキンロビンスと言います。
重症です。
経穴をわざわざ別名で言うのは分かりにくいしマジでダサいですが、
別名を知ることで穴性が覚えれたり、その経穴を新しい角度で見れたりするメリットもあります。(あとダジャレを作れたり)
そこで今回は経穴の別名をピックアップしながら愚考を書いていきたいと思います。
【会維、胃維】地倉
陰維脈との交会なんだな、というのがすぐ覚えられます。
こういう感じで紹介していきます。
【窓聾、窓籠】天窓
これも聾に関係しているんだろうなと考察できます。
【玉環兪、玉房兪】白環兪
諸病源候総論に男性の遺精、女性の月経にかかれており、ここから玉環、玉房の名前がきているようです。
個人的には、だいたい泌尿器系の疾患はとりあえず次髎でいいじゃんと思っていますが、性に関わることの場合は玉環兪の意識をもって使います。
【飛虎】支溝
かっこいい!
飛!虎!少年心がくすぐられる名前!
支溝、外関あたりは肺経にも作用するように考えているのですが、それを子午流注での虎=肺として別名としたのでは?と愚考です。
【蛇頭】温溜
これもかっこいい!
長短橈側手根伸筋が蛇みたいだからとかどこかに書いてあった気がしますが、関係ない!かっこいい!
もう一つ別名【逆注】これもかっこいい!
【経始】少衝
「経の始まり」ということなのか?
だとしても場所的にも小指の先だし、心経の終わりの経穴なのにちょっとイキってる感がありますね。
お前も中二病なのか…?
【小吉】小沢
急にかわいい。
少衝がイキってるのに対して、反対側の小沢は弁えてます!って感じがいいですね。
【心主】大陵
心包経なのに「心の主」を主張する大陵。
まだ心経がなかった脈灸経の頃が忘れられないのかな…
【命門】石門
個人的に三焦の募穴なので石門は好きです。
丹田の位置だし、命門の名前を貰ってもでも全然おかしくない石門。
それでも腰の命門に名前を譲ってやる…そういう奴なんですよね、石門は。
【肉郄】承扶
【肉柱】承山
ふくらはぎを「肉」とするの分かる。
人間のパーツの中で一番「肉」っぽい。
【天五会】人迎
三陽五会は手足少陽、足太陽、足厥陰、督脈ですが、天五会は何が交会しているのか?
鍼灸大成に「以候五臓気」とあるので五臓の気の状態を知るための場所。としての天五会でしょうか。
【命關】食竇
なかなか認知度は低いと思いますが、扁鵲心書に書かれています。
たぶん鍼灸師になってから使ったことのない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここに脾土論みたいな内容と36種の脾病を治し、2、300壯据えると病気にならない!みたいなとこが書かれています。(と思います)
そして同様に扁鵲心書に記載されている黄帝灸法には
久患脾瘧灸命關五百壯
五百!500!
古典ならおかしくはない壯数ですが、他は臍下、中脘など1穴で済むなか命関は左右2穴!
左右で1000壯!
直接灸をしたら穴が空いてしまうと思うので簡易灸を据えるとして、最近Twitterで話題のユニコさんのらくらく灸だと
業務用288壮入:各5,700円
とのことですので、1000壯とすると大体2万円分の灸が必要ということになりますね。
これは美容鍼とかの比じゃないぞ!
長患いの患者さんに命関の灸が流行ったら日進医療器えらいことになるのでは…!?
まさか宝の山を見つけた!?
ただ治療時間としては、もし1壯1分で燃えるとしても500分。
おおよそ8時間かかりますがいかがでしょう。
原価2万で8時間の治療…単価いくらにしたらいいんだろうか…
二日酔いの経穴考察
前回の続きです。
古典の中でお酒、二日酔いに関する記載を探しました。
【顖会】
類経円翼:主治脳虚冷痛。頭風腫痛。項痛。飲酒過多頭皮痛。風癇冷痛。
資生経:予少刻苦。年踰壯。則脳冷。或飲酒過多脳疼如破。後因灸顖会穴。非特脳不復冷。他日酒酔脳亦不疼矣。凡脳冷者宣灸之。
【率谷】
甲乙経:酔酒風熱発。二角(一作兩目)。眩痛。不能飲食。煩満嘔吐。率谷之主。
銅人経:率谷。治膈胃寒痰。傷酒風発。脳両角強痛不能飲食。煩嘔吐不止。可灸三壯。鍼入三分。
顖会は酔っ払いが鼻っつらに掌底を打ち込んできた際、中指の当たるところ。
率谷は酔っ払いから側頭部にチョップを喰らう辺りです。
やはり以上2穴しか見つけられなかったんですが、
改めて確認してみても体幹、四肢の経穴に『酒』と記載されてるものは、どうも無いようです。
ご存知の方は是非教えて下さい。
場所柄から考えても頭痛に効果はありそうですが、
顖会、率谷が頭部の経穴の中で何故わざわざ飲酒後、酒酔など状況を限定した頭痛に効果があるとされているのか?
愚考してみましたが、2穴に共通するのは頭部の経穴の中でも胃、消化器に対して効果がある経穴ではないかと、
顖会は古典などには書かれてないので、どれくらい一般的なのかは分からないのですが、
澤田流の鍼灸治療基礎学には
『迷走神経の過緊張を主る。故に激しき嘔吐、胃酸過多症に効く』
とありまして、澤田流をベースにしている私としては顖会が胃に効果があるということは自分でも、患者さんに対しても実感するところなのですが…(私の経験ですが、お酒だけでなく失恋の際の胃の痛みにも効果がありました。)
迷走神経の過緊張を主る。ってどういうこと?
学生の時は「顖会は迷走神経の過緊張を主る!なるほど!すごい!」
と思ってましたが、今思うとちょっと何言ってるかよく分からない。
前後の経穴ではそんな話さっぱり出てこないのに、なぜ急に顖会だけ迷走神経に作用すると言い出すのか…
現在で言うところの迷走神経反射による失神が起こったなら百会で引き上げた方が良いだろうし、
澤田先生はどういった経験から「顖会、迷走神経に作用するわー」と考えたんでしょうか。
天才やったからかなぁ
率谷は甲乙経、銅人系に治膈胃寒痰、不能飲食など書かれているので古典が出来た時代から消化器に効果があることが分かっていたのでしょう。
それでも誰が初めにやり出したんでしょうね。
どういう発想でお腹が悪いときに側頭部に手がいくのか…
天才おったんかなぁ
自分が二日酔いになった際は胃熱を瀉すことと、水湿の運化を促すことを目的としてあの経穴この経穴と試しているのですが、
フォローさせていただいている先生から大敦が効果があるとご教授いただきました。
胃熱がより深く入っていったものを瀉せるだろうし、ひどい二日酔いになった際は試そうかと思っていますが如何せん井穴は痛いだろうし
行間じゃダメかなあ…
瀉す目的なら大敦より強いと思うんですが行間より大敦の方が良い理由があるのか、これは自分の身体で試してみるしかないですね。
ところで大敦は第一趾爪根部の外側を使われますか?中央でしょうか?
私は外側は肝経を、中央は肝経と脾経との交会を意識して使います。
…
よし!
では、ある程度書きたいことは書けたので実験の為に逝ってきます!